日経平均1,713円安|関東電化工業の上方修正、利益は続く?【2026年10月22日】
2026年10月22日の日経平均は1,713.40円安。半導体株が売られる一方、関東電化工業は営業利益予想を29.2%上方修正しました。特殊ガスの需要と在庫による一時的な利益を分けて読み、トーカイ、eWeLL、ブロンコビリーの発表も解説します。

情報基準:2026年10月22日16:00(日本時間)。指数・株価は同日の東京市場終値。15:30の企業開示は、その日の終値には反映されていません。
10月22日の日経平均は62,907.84円、前日比1,713.40円安。半導体関連株も売られ、ディスコ(6146)は4.37%下落しました。そんな日に僕が最も気になったのは、半導体の製造工程で使われる特殊ガスを作る関東電化工業(4047)です。同社の株価も6.81%下がりましたが、引け後には通期の営業利益予想を113億円から146億円へ引き上げました。
ただし、この数字を見て「半導体向け需要が強いから、今後も利益が増え続ける」と考えるのは早そうです。会社の説明には、製品の販売価格や原材料の在庫が利益を押し上げた話もあります。今日の発見は、上方修正された利益のうち、どこまでが繰り返し稼げる利益なのかを分けて考える必要があることです。
🐼 今日の3ポイント
- 日経平均は1,713.40円安、TOPIXは46.23ポイント安。関東電化工業の株価も6.81%下落した。
- 関東電化工業は半導体向け特殊ガスの需要増などを背景に、通期営業利益予想を29.2%上方修正した。ただし、在庫による利益押し上げは下期に薄まる見通し。
- トーカイは上方修正と増配、eWeLLは訪問看護向けAIサービス、ブロンコビリーは1~9月の営業利益48.4%増を発表した。
10月22日の日本株は、どれくらい下がった?
まずは市場全体の終値です。
| 指数 | 10月22日終値 | 前日比 |
|---|---|---|
| 日経平均 | 62,907.84円 | -1,713.40円(-2.65%) |
| TOPIX | 3,997.50 | -46.23(-1.14%) |
日経平均は朝に64,866.44円まで上がったものの、終値はその日の安値でした。10月9日の終値69,030.92円からは6,123.08円、約8.9%の下落です。日経平均の下落率はTOPIXを上回り、値がさの半導体関連株への売りが指数に大きく響いた一日でした。ただ、指数の動きだけで個々の企業の需要まで一律に判断することはできません。
関東電化工業(4047)|特殊ガスの利益は、なぜ大きく増える?
2027年3月期の営業利益予想を113億円から146億円へ引き上げました。 関東電化工業は、半導体の細かな加工工程などに使われる特殊ガスを供給する化学メーカーです。半導体メーカーが設備を動かし、製造量を増やすと、工程で使う材料にも仕事が生まれます。
22日15:30に発表された通期予想を、従来予想と比べます。
| 項目 | 従来予想 | 新予想 | 修正率 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 950億円 | 985億円 | +3.7% |
| 営業利益 | 113億円 | 146億円 | +29.2% |
| 経常利益 | 113億円 | 145億円 | +28.3% |
| 純利益 | 76億円 | 99億円 | +30.3% |
売上高の修正率は3.7%なのに、営業利益は29.2%増。なぜ利益の伸びの方がずっと大きいのでしょうか。会社は半導体向け特殊ガスの需要拡大に加え、原材料高を販売価格へ反映できたこと、コスト削減、そして値上がり前に仕入れた原材料在庫を使用したことを説明しています。
在庫の効果は、身近な例にすると分かりやすいです。安いときに買った材料を使いながら、上がった原材料価格を踏まえて製品を販売できれば、その期間の利益率は高くなります。でも安い在庫を使い終われば、その組み合わせは続きません。価格転嫁ができた点は企業の強さを考える材料ですが、在庫による押し上げを毎年の利益として数えるのは慎重にしたいところです。
会社の上期・通期予想から、下期の数字を差し引いてみます。下期の欄は会社が単独で発表した予想値ではなく、通期から上期を引いた計算値です。
| 期間 | 売上高 | 営業利益 | 営業利益率 |
|---|---|---|---|
| 上期予想 | 444億円 | 94億円 | 約21.2% |
| 下期の計算値 | 541億円 | 52億円 | 約9.6% |
| 通期予想 | 985億円 | 146億円 | 約14.8% |
上期の営業利益率は約21.2%ですが、下期の計算値は約9.6%。会社も下期には在庫による押し上げが薄れると説明しています。上期の営業利益94億円を単純に2倍して、年間188億円と見積もることはできません。
22日の終値は1,943円、142円安。新しい会社予想EPS172.61円で計算すると、予想PERは約11.3倍です。PERは株価が1株当たり利益の何倍かを示す指標ですが、今回は分母となる利益に一時的な押し上げが含まれています。さらに、修正の発表は引け後でした。22日の終値が新予想を織り込んだ価格とはいえません。
トーカイ(9729)|介護用品のレンタルは、どう利益になる?
営業利益予想を89.85億円から102.86億円へ上方修正し、年間配当予想を80円から89円へ引き上げました。 トーカイは調剤薬局、介護用品レンタル、病院向けサービスなどを手掛けます。介護用品のレンタルでは、ベッドや車いすを貸し出した後、返却されたものを点検・清掃し、次の利用者へ貸し出します。同じ用品を効率よく使うほど、購入費用に対して得られる売上を増やせる可能性があります。
会社は、調剤薬局で処方箋1枚当たりの売上が計画を上回ったことや、レンタル資材の効率的な運用を挙げています。加えて、買収したQLCプロデュースの業績も第3四半期から連結する見込みです。つまり、既存事業の改善と買収による上積みは分けて見る必要があります。
22日の終値は2,801円、173円高。15:00の上方修正発表は取引時間中で、関東電化工業の引け後発表とは時系列が異なります。新しい年間配当89円を終値で割った予想利回りは約3.18%。僕は今後、介護用品レンタルの利用者数や資材の稼働、買収事業の利益貢献を確かめたいです。高齢化による需要だけでは、事業の収益力までは分かりません。
eWeLLとブロンコビリー|新サービスと好決算をどう読む?
半導体以外にも、企業の仕事を考える手掛かりがありました。
eWeLL(5038)|訪問看護の記録を経営改善に使う
訪問看護向けのAI経営支援サービス「iBowボード Pro」の提供を開始しました。 eWeLLは訪問看護専用の電子カルテ「iBow」を提供しています。会社の発表によると、新サービスは蓄積された業務データから経営指標を分析し、改善策や収益への影響を示します。別のシステムに情報を一から入力し直さずに使えることが、既存の電子カルテ事業とのつながりです。
僕が面白いと思うのは、AIという名前より、すでに現場で使われているデータを顧客の経営課題に結びつけられる点です。ただし、新サービスの契約件数や利益への貢献はまだ分かりません。提供開始は収益拡大の証明ではないので、利用事業所数と追加料金がどれほど売上につながるかを見たいです。22日の終値は2,383円、69円高でしたが、値動きの理由を新サービスだけに帰すこともできません。
ブロンコビリー(3091)|売上以上に利益が伸びた理由は?
2026年1~9月の売上高は253.51億円で前年同期比12.8%増、営業利益は30.54億円で48.4%増でした。 ステーキやハンバーグを中心とした外食チェーンです。売上高より営業利益が大きく伸び、営業利益率は前年同期の約9.2%から約12.0%に上がりました。
ここで知りたいのは、客数や客単価の増加、価格改定、牛肉などの仕入価格、店舗運営の効率化のうち、何が利益率を押し上げたかです。会社は通期業績予想を据え置いています。1~9月の好調だけで年間の上振れを決めつけず、年末の費用や既存店の動きを見たいと思います。決算は引け後の発表で、22日の終値2,943円には反映されていません。
次に何を確かめたい?
- 関東電化工業:下期の特殊ガス販売数量と営業利益率。在庫による一時的な利益が薄れた後の収益力。
- トーカイ:介護用品レンタルの稼働と、買収した事業の利益貢献。配当89円を支える資金の流れ。
- eWeLL:新サービスの利用事業所数と料金。便利さが継続的な売上に変わるか。
- ブロンコビリー:既存店の客数・客単価、原材料費と人件費。改善した利益率が続くか。
翌23日には9月の全国消費者物価指数が発表される予定です。物価の動きは、日銀の金融政策だけでなく、食品・外食などの費用や家計の支出を考える材料にもなります。また、22日16:00時点で正式資料を確認できていないディスコの決算も、半導体製造の需要を考える際に確認したい資料です。
あわせて読みたい
相場が下がった日に企業を調べて感じたことは、noteの10月22日夕刊にも書いています。
参考情報
- 日経平均|2026年10月22日の指数データ
- TOPIX|2026年10月22日の指数データ
- 関東電化工業|2027年3月期業績予想の修正
- トーカイ|業績予想・配当予想の修正
- eWeLL|iBowボード Pro提供開始
- ブロンコビリー|2026年12月期第3四半期決算
本記事は情報提供を目的とし、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。数値・会社予想は記載した基準日時点の情報です。
関東電化工業(4047)



