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サイバーエージェントの株価は安い?ABEMA・ゲームと2030年の株価をやさしく考える

サイバーエージェントの利益はどこから来る?EPS・PERの意味から、ウマ娘級のヒットが出た場合、2030年の株価まで順番に考えます。会社の予想と筆者の仮定を分けて、やさしく解説します。

サイバーエージェント証券コード:4751
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後編。サイバーエージェントは今、割安なのか?ABEMA・ゲーム・2030年の適正株価を考える。ぱんだ塾長。
サイバーエージェントの株価は安い?ABEMA・ゲームと2030年の株価をやさしく考える / 株の夕刊

サイバーエージェントの成長の歴史を見た前編の続きです。

前編では、広告からゲーム、ABEMAへと仕事を広げてきた歴史を見ました。

では、そんなサイバーエージェントの株は、今の価格なら安いのでしょうか。今回は、どの仕事でいくら稼いでいるかを見ながら、株価について考えてみます。

例えば、株価が3,000円になったとします。

会社の利益が大きく増えて3,000円になったのか。それとも、利益は同じでも「これから伸びそう」という期待で3,000円になったのか。

同じ株価でも、その中身によって見え方が変わります。 この違いを、数字で確かめていきましょう。

前半は会社が発表した数字、後半はぱんだ塾長が「もしこう育ったら」と置いた仮定です。会社の予想と僕の試算を分けて紹介します。

※株価は2026年9月18日、情報確認は9月22日時点です。9月23日に文章を読みやすく整えました。僕自身の保有状況や、一部だけ売る考え方は無料のnote後編で紹介しています。

まずは株価1,260円と、会社の利益を見てみる

項目数値・内容基準・計算方法
会社名・証券コードサイバーエージェント・47519月決算
終値1,260円2026年9月18日
会社予想EPS80.85円2026年8月7日公表、2026年9月期通期
予想PER約15.6倍1,260円 ÷ 80.85円
会社予想営業利益770億円2026年9月期通期
会社予想親会社純利益410億円2026年9月期通期

表にあるEPSは、会社の利益を1株分に直した数字です。今回の会社予想は80.85円。「1株あたり、約81円の利益を見込んでいる」と考えると分かりやすいと思います。

そしてPERは、株価がその利益の何倍になっているかです。1,260円 ÷ 80.85円で、約15.6倍になります。

この約81円は、会社が予想した2026年9月期の1年分の利益です。直近12か月の実績を表す「TTM」とは違い、まだ予想の数字です。

ただ、15.6倍だからすぐに「安い」と決まるわけではありません。

この利益が来年も続きそうなのか、もっと増えそうなのか。それによって「この会社なら、いくらで買いたいか」も変わってきます。

出典:株価情報、予想PER履歴、2026年9月期第3四半期決算短信

一番稼いでいるのは、どの仕事?

まずは2025年9月期の1年間に、実際にどれくらい稼いだかを見ます。

「メディア&IP」はABEMAやアニメなどを含む事業です。IPは作品やキャラクターなどの権利のことで、それをゲームや舞台などへ広げる仕事もあります。

営業利益は、本業の売上から仕事に必要な費用を引いた利益です。その利益が売上の何%残ったかを表すのが、営業利益率です。

事業売上高営業利益営業利益率(計算値)ここに注目
メディア&IP約2,315億円約72.9億円約3.1%番組などにお金を使いながら、利益を出し続けられるか
インターネット広告約4,612億円約176.0億円約3.8%広告の依頼が増えるか、AIで仕事を効率よく進められるか
ゲーム約2,167億円約600.6億円約27.7%人気が続くか、新作や海外でも利益を出せるか

※売上にはグループ内の会社同士の取引も含まれます。また、ほかの事業や会社全体でかかる費用もあるので、この表を足しても会社全体の決算と同じ数字にはなりません。2025年のグループ全体の営業利益は約717億円でした。

この年、一番大きな利益を出したのはゲームでした。

一方、後半の僕の試算では、これから大きく利益が増える事業としてメディア&IPに期待しています。「今、一番稼いでいる仕事」と「これから伸びてほしい仕事」は、少し違うんですね。

出典:2025年9月期決算短信

ABEMAを含む事業は、どれくらい利益が増えた?

メディア&IP事業は、2025年9月期にABEMA開局後初めて、1年分の結果で黒字になりました。

ただし、これはABEMAだけの利益ではありません。WINTICKETやアニメ関連なども合わせた数字です。

期間メディア&IP営業利益前年の同じ期間との比較
2025年9月期・通期約72.9億円黒字転換
2026年9月期・上期(2025年10月〜2026年3月)約104.0億円+119.8%
2026年9月期・第3四半期累計(2025年10月〜2026年6月)約131.8億円+88.0%

表の「上期」は最初の6か月、「第3四半期累計」は最初の9か月の合計です。9か月分の中に最初の6か月も入っているので、104億円と131.8億円を足すことはしません。

会社は、AbemaTVが黒字になったことなどが利益の増加につながったと説明しています。ただ、表の利益が全部ABEMAで生まれたわけではない点は押さえておきたいですね。

会社の資料では、2026年7月27日の週にABEMAを使った人は3,137万人でした。「WAU」は、この1週間の利用者数を表す言葉です。有料会員が3,137万人いる、という意味ではありません。

使う人が増えるのはうれしいことです。そのうえで、広告や有料サービスで入るお金が、番組をつくったり配信権を買ったりする費用をどれくらい上回るかも見たいところです。

出典:2026年上期決算短信、第3四半期決算短信、第3四半期説明会資料

『ウマ娘』がヒットしたとき、株価はどう評価された?

2021年6月24日の高値は2,441円でした。

当時、会社が4月28日に発表していた1株あたりの予想利益は47.54〜51.51円。この数字で株価を割ると、PERは約47〜51倍です。

ところが、後から分かった実際の1株あたり利益は81.68円でした。こちらで計算すると、同じ2,441円でもPERは約30倍になります。

予想していた利益と、実際に出た利益が違うと、PERも変わるんですね。

当時の株価には、その後の利益の伸びを期待した買いも入っていたのかもしれません。ただ、次のヒットでも必ず同じ倍率まで買われるとは限りません。

出典:TradingViewの高値記録、2021年4月28日決算短信、2021年通期決算短信・訂正版

もし、もう一度「ウマ娘級」のヒットが来たら?

大ヒットが出れば、会社の利益が増えるかもしれません。それと同時に、「もっと伸びそう」と買いたい人が増えるかもしれません。

そこで、1株あたりの利益(EPS)と、株価につく倍率(PER)を変えてみるとどうなるでしょうか。

計算は「EPS × PER」です。会社予想の80.85円を約81円に丸めた場合と、120円・150円に増えたと仮定した場合を並べました。いつ実現するかを予想した表ではなく、条件を変えると株価がどう変わるかを見る表です。

PERの仮定EPS81円EPS120円EPS150円
15倍1,215円1,800円2,250円
20倍1,620円2,400円3,000円
25倍2,025円3,000円3,750円
30倍2,430円3,600円4,500円
40倍3,240円4,800円6,000円
50倍4,050円6,000円7,500円

例えば、株価3,000円になる組み合わせは一つではありません。

EPS120円 × PER25倍でも、EPS150円 × PER20倍でも、3,000円です。

一方、利益が約81円のままで3,000円になれば、PERは約37倍。利益に対して、かなり高い倍率で買われていることになります。

利益も期待も一緒に伸びることはあります。でも、利益が増えても買われる倍率が下がれば、株価は思ったほど上がらないこともあります。

2030年には、どれくらい稼ぐ会社になる?

ここからは、会社の予想ではなく、僕が考えた3つのパターンです。

2030年9月期の利益を、控えめに考えた「保守」、中心に置く「基本」、成長がうまく進んだ「強気」で比べてみます。

ゲームの超大型ヒットが毎年続くとは考えず、ABEMAなどを含むメディア&IPの利益が伸びることを大きな柱にしています。

営業利益の仮定保守基本強気
メディア&IP250億円450億円600億円
インターネット広告250億円300億円350億円
ゲーム550億円600億円700億円
全社費用・その他▲150億円▲150億円▲150億円
連結営業利益900億円1,200億円1,500億円

ここでいう「保守」は、これより悪くならないという最低ラインではありません。結果は、この3つの範囲から外れることもあります。

そして、基本パターンも決して低い目標ではありません。メディア&IPの450億円は、2025年の約6.2倍。5年間、毎年同じ割合で増えるなら、年約44%の成長が必要です。

ゲームの大ヒットを毎年期待しない代わりに、メディア&IPにはかなりの成長を期待している。 ここは、今回の試算で大切な前提です。

2030年の株価と、「今ならいくらで買いたいか」

次は、さきほどの営業利益から株価を考えます。計算の約束は、次の4つです。

  • 税金などを引いた後、サイバーエージェントの株主の分として残る最終利益を、営業利益の50%とする。
  • 1株あたりの利益を出すために、最終利益を約5.07億株で割る。会社自身が持つ株は除き、株数は変わらないとする。
  • 2030年に株価につく倍率(PER)は、保守15倍・基本18倍・強気20倍とする。
  • 2030年9月末を約4年後として、「年8%ずつ増えてほしい」と考えた場合の、今払う価格を逆算する。途中の配当は含めない。

2026年の会社予想は、営業利益770億円に対して最終利益410億円で、約53%です。今回は将来を計算するため、これを50%と置きました。

実際には、税金や一時的な損益、子会社の利益のうちほかの株主の分などで変わるので、毎年必ず半分残るわけではありません。

シナリオ純利益の仮定EPSPER2030年の想定株価年8%の増加を見込んだ場合に、今払う価格
保守450億円約89円15倍約1,330円約980円
基本600億円約118円18倍約2,130円約1,570円
強気750億円約148円20倍約2,960円約2,170円

表の最後の列は、少し分かりにくいかもしれません。

例えば基本パターンでは、2030年の株価を約2,130円と考えています。でも、今2,130円で買って4年後も2,130円なら、株価は増えていません。

そこで、**「4年間、年8%ずつ増えるとしたら、今はいくらで買う計算になる?」**と逆に考えます。その答えが約1,570円です。こうして将来の金額を今の金額に直したものを「現在価値」と呼びます。

計算式は、EPS=最終利益÷株式数、将来株価=EPS×PER、今払う価格=将来株価÷1.08⁴です。表は丸めた金額ですが、計算には丸める前の数字を使っています。

9月18日の終値は1,260円でした。基本パターンの約1,570円より低いので、この成長が実現するなら、僕は「割安寄り」と考えています。

ただし、保守パターンでは約980円となり、1,260円より低くなります。

「適正価格は絶対に1,570円」と決まったわけではありません。利益の伸び方や、株価につく倍率をどう考えるかで答えは変わります。

これから、どこを見ていけばいい?

確認項目なぜ見る?
メディア&IPの利益と使ったお金期待したペースで利益が増えているか確かめたい
ゲームが稼ぎ続けられるか大ヒットした年だけの利益になっていないか見たい
広告事業の利益率売上やAIの活用が、利益の増加につながっているか見たい
最終利益と株の数本業が伸びても、1株あたりの利益が同じように増えるとは限らない
株価と予想EPSの関係利益が伸びたのか、期待で高く買われているのかを見たい

もし株価が3,000円になったとしても、その数字だけで結論を出すより、まず会社の利益を見直したいと思います。

利益が大きく育った結果の3,000円なのか、期待が先に膨らんだ3,000円なのか。株価と会社の成長を、一緒に追いかけたいですね。

僕自身の6,000株の保有状況や、一部を売った場合に税金を引いていくら残るかの計算は、note後編で紹介しています。

前編・note版と関連資料

※本記事は企業研究を目的とした筆者の分析であり、特定銘柄の購入・売却を推奨するものではありません。2030年の利益・EPS・PER・株価・現在価値は筆者の仮定に基づく試算で、会社予想や将来の株価を保証するものではありません。株価・指標の基準日は2026年9月18日です。

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