日本株 夕刊|2026年9月12日(土)|月曜日に見る3銘柄と、来週の重要ポイント
土曜の週末版。今週の日本株を振り返り、Ridge-iなど月曜日に見る3銘柄と、原油・金利・来週の重要ポイントを整理します。

情報基準:2026年9月12日(土)17時ごろ
日本株の株価は9月11日(金)の東証終値、PER・PBRは同日の表示値です。米国株・原油は現地11日の取引、ニュースは情報基準までに公表された内容を使っています。
今日は土曜日なので東京市場は休場です。
平日の夕刊とは少し役割を変えて、今週何が起きたかを短く整理しながら、金曜の引け後と週末に出たニュースから「月曜日に何を見るか」を先回りします。
① 今週の日本株を30秒で振り返る
今週の日経平均は、前週末9月4日の 65,020.94円から、11日(金)の 64,011.34円へ。終値ベースで約1.6%下落しました。金曜日だけで1,259円安、-1.93%です。
ただし、金曜日のTOPIXは 4,028.30、-0.65%。
つまり「日本株全体が一斉に崩れた」というより、日経平均への影響が大きい成長株・ハイテク株への売りが強かったと見る方が自然です。
今週を一言でまとめるなら、
AI需要はまだ強い。でも、原油高と金利上昇によって「どんなAI株でも高く買っていい」という相場ではなくなってきた。
です。
しかも金曜夜には米国株が反発しました。
S&P500は+0.86%、NASDAQは+0.96%。原油が高値から下がったことが安心材料になりました。
普通なら、これは月曜日の日本株にはプラス材料です。
ところが、金曜から週末にかけては中東の輸送ルートへのリスクも報じられています。米国株の反発だけで安心はできません。
ここが月曜日最大のポイントです。
② 今週一番重要だったニュース3つ
1位 原油が再び100ドル超。「油田」より輸送ルートが問題に
Brent原油は今週、一時 109.97ドルまで上昇しました。金曜には104ドル台まで下げたものの、週間では8%以上上昇しています。
問題は、単純な原油価格だけではありません。
中東ではホルムズ海峡だけでなく、紅海側の輸送まで不安定になっています。
つまり今は、
石油を作れるか?
だけでなく、
作った石油を世界へ運べるか?
が市場テーマになっています。
日本株ではINPEXなど資源株だけでなく、海運、航空、物流、化学まで影響を広げて考えたい局面です。
2位 米国の物価が下がらず、10年金利は5%目前
米国の8月CPI(消費者が買うモノやサービスの物価指数)は、
前月比 +0.4%
前年比 +3.4%
でした。
食品とエネルギーを除いた物価も前月比+0.3%。11日の報道では、来週のFOMC(米国の政策金利を決める会合)での利上げ確率を、市場は8割超と見込んでいました。これは市場の予想で、決定ではありません。
米10年国債利回りは、11日の米国取引時間中の報道で 4.95%前後。5%に近い水準でした。
金利が高いと、国債などでも利息を得やすくなります。その分、AI・半導体など「将来の成長」を期待して高く買われている株には、価格を見直す売りが出やすくなります。
だから今週のAI株安は、
AI需要が消えた
というより、
AI企業につけられていた株価を、高金利でも正当化できるのか?
が問われ始めた、と考えています。
3位 それでもAIの実需は弱くなっていない
ここはかなり重要です。
日本時間9月9日に報じられたReuters調査では、日本の大手製造業の景況感が2021年12月以来の高水準となり、特に半導体・データセンター需要とAI関連投資が電子部品などを支えていました。これは48時間より前の情報ですが、「今週の背景」として覚えておきたい動きです。
さらに金曜引け後には、Ridge-iから約9.8億円のAI案件受注が出ました。
つまり、
AIテーマそのものが終わったわけではない。
これからは「AIに関係している会社」より、「AIで実際に注文が増えた会社」を探す。
今週一番大きく変わったのは、この視点だと思います。
③ 今週見つけた面白い銘柄3社
今週の発掘を並べると、面白い共通点があります。
高砂熱学工業(1969)
AIを「冷やす」会社。
データセンター向けの空調システム「IDC-SFLOW」を持ち、サーバーの熱を効率よく処理する技術があります。AIサーバーが増えるほど、GPUだけでなく冷却設備にも仕事が発生します。
金曜終値は 4,395円。予想PERは約14.4倍で、年初来高値5,749円からはまだ距離があります。PERは予想利益に対して株価が何倍かを見る数字。高値から下がっただけで割安とは決めず、その利益が続くかを確認します。
今の見方:継続して詳しく調べたい。
高千穂交易(2676)
AIを「安全に使う」側。
9月10〜11日に「AIでひろがるセキュリティ最前線」をテーマに展示会を開催。AI時代のネットワーク、サイバーセキュリティ、AIカメラなどを企業へ提案しています。
金曜日は日経平均が-1.93%だった一方、高千穂交易は 2,052円、-0.34%でした。
AIが普及するほど、AIを作る会社だけでなく、「企業が安全にAIを使える環境を作る会社」にも仕事が増えるという発見です。
今の見方:次の決算でAI・セキュリティが売上にどこまで表れるかを確認したい。
Ridge-i(5572)
AIを「企業へ実際に入れる」会社。
今週の3社を並べると、
高砂熱学=冷やす
高千穂交易=守る
Ridge-i=導入する
となります。
そしてRidge-iは、最後に実際の受注額まで出てきた。
ここが土曜版で一番面白いところです。
④ 金曜引け後〜土曜日に出た重要ニュース
金曜夜:米国株は反発
米国株は金曜日に反発しました。
CPIは高かったものの、原油価格が110ドル近辺から104ドル台へ下がり、S&P500、NASDAQとも上昇しました。
これだけなら月曜日の日本株には安心材料でした。
ただし――。
金曜〜土曜日:サウジの重要パイプライン停止を確認
サウジアラビアが、ドローン攻撃を受けた東西パイプラインを予防措置として停止しました。停止は金曜日から報じられています。
この設備はホルムズ海峡を通らずに原油を紅海側へ運べる重要ルートです。Reutersが伝えた直近数カ月の輸送量は1日 400万〜500万バレルで、世界の石油供給量の約4〜5%に相当します。
さらにReutersは、イエメン政府関係者の話として、フーシ派が金曜日にペリム島を掌握したと報じました。紅海への入口にあたるバブ・エル・マンデブ海峡の重要拠点です。
つまり週末に、
ホルムズ海峡
+ サウジの迂回パイプライン
+ 紅海
という3つの輸送ルートに不安が重なってきました。
金曜日の原油終値に、このリスクがどこまで反映されたかは断定できません。復旧の見通しや週末の続報を、月曜日の市場がどう受け止めるかを見ます。
日本企業では引け後材料も。発表時刻は区別する
Ridge-iは16時に決算と大型AI案件を発表。
アストロスケール(186A)は16時に第1四半期決算を発表しました。一方、フランス子会社による軌道離脱実証ミッションの契約獲得は同日8時の発表で、引け後の新材料ではありません。軌道離脱は、衛星を地球の周りの軌道から外す技術です。
またfantasista(1783)は仙台で計画する総受電容量200MW規模のAIデータセンターについて、米投資運用会社が運用するファンドと資金調達・協業に関する基本合意を発表しています。まだ協議を始める段階で、融資や出資が確定したわけではありません。
ただし、ここは区別します。
Ridge-i=受注済み
fantasista=まだ基本合意
です。
同じAIニュースでも、売上につながる確度はまったく違います。
⑤ 月曜日に見る銘柄TOP3
🥇 1位 Ridge-i(5572)
月曜日、一番見たい銘柄です。
金曜15時30分の終値は 2,879円、-0.48%。
その30分後、16時に決算と大型受注が発表されました。つまり東証ではまだこの材料に一度も反応していません。
SBIホールディングスから受注したのは、グループ全体のAI戦略策定や、AIエージェント(複数の作業を自律的に進めるAI)の導入を支援するプロジェクト。
受注金額は約9.8億円。
2026年7月期のRidge-iの売上高は約29.9億円なので、会社規模と比較してかなり大きな案件です。
前期業績も、
売上高 +15.4%
営業利益 +93.3%
経常利益 +91.2%
と伸びました。今期も経常利益は+13.3%を予想しています。
ただし、重要な注意点があります。
今回の9.8億円は、すでに今期の会社予想に含まれています。
なので「9.8億円分を今の予想にさらに上乗せ」と考えてはいけません。
月曜日に見ること
寄り付きで大幅高になった場合はすぐ追わず、最初の1時間で高値を維持できるかを見たいです。
そして株価より大事なのは、
SBI以外の企業でも、同じような大型AI案件を取れる会社なのか?
ここです。
今の見方:週末版の主役。かなり詳しく調べたいが、急騰なら追わず様子を見る。
2位 INPEX(1605)
金曜終値は 3,930円、+1.37%。予想PER約9倍、PBR約0.9倍です。PBRは会社の純資産に対して株価が何倍かを見る数字ですが、1倍未満だけで割安とは決められません。
そして金曜から週末にかけて、サウジの重要パイプライン停止に関する報道が続きました。
月曜日に原油価格が再び大きく上がれば、まず市場が見る日本株の一つになるでしょう。
ただし、
原油価格上昇=INPEXの利益が同じ割合で増える
わけではありません。
8月7日の決算でも、原油販売価格が上昇する一方、販売数量の減少が売上を押し下げています。
見るべきは、
原油価格 × 生産量 × 為替
です。
今の見方:月曜に急騰したら追わない。原油高が数週間続くのかを確認しながら継続監視。
3位 川崎汽船(9107)
金曜日は 3,397円、+2.94%でした。
中東情勢が悪化し、船が安全な航路へ迂回するようになると、移動距離が伸び、同じ期間に運べる貨物が減って運賃が上がることがあります。
今回さらに紅海側の重要航路まで不安定になっているため、月曜日は海運株も確認します。
ただし海運株も単純ではありません。
航路混乱は、
運賃上昇にはプラス
燃料費・保険料・安全対策費にはマイナス
です。
「中東危機=海運株上昇」と決めつけない方がいい。
今の見方:株価より先に、航路変更と運賃がどう動くかを見る。
⑥ 来週の重要イベント
9月14日(月)
金曜引け後から週末にかけての中東情勢を、日本市場が改めて評価する日。
まず見るのは日経平均ではなく、
Brent原油 → 米10年金利 → ドル円 → INPEX・海運 → AI株
の順番です。
9月15〜16日(米国現地日付)
米FOMC
FRB(米国の中央銀行)の公式日程で15〜16日に開催されます。市場では政策金利を0.25ポイント引き上げる予想が強まっています。
重要なのは「利上げするか」だけではなく、今後も利上げが続くのかです。
9月17〜18日
日銀金融政策決定会合
日銀公式日程では17〜18日に開催、18日15時30分から植田総裁の会見が予定されています。
Reuters調査では、政策金利を 1.0%→1.25%へ引き上げる予想が優勢です。
銀行株には追い風になり得ますが、不動産や高PER成長株には逆風になりやすいので、業種ごとの差を見ます。
⑦ 来週の3シナリオ
🟢 強気シナリオ
サウジのパイプラインが早期復旧し、原油が100ドル付近まで落ち着く。
FRB・日銀も市場予想以上に強い利上げ姿勢を見せない。
この場合、金曜日に売られたフジクラ、ソフトバンクグループ、半導体株などに買い戻しが入りやすくなります。
個別材料を持つRidge-iにも注目。
🟡 基本シナリオ
これが今の本線です。
原油は100ドル超で高止まりし、日米とも金利は高い。
でもAI・データセンター投資は続く。
すると、
「AIっぽい会社なら全部上がる」相場
↓
「実際に受注・売上・利益が増えている会社を選ぶ」相場
へ進みます。
この場合、来週もRidge-i、高砂熱学、高千穂交易のような「AIの実需につながっている会社」を優先して探したいです。
🔴 弱気シナリオ
サウジのパイプライン停止が長引き、原油が再び110ドルを突破。
さらにFRBと日銀がそろって強い利上げ姿勢を示す。
この場合は、ソフトバンクグループ、フジクラ、半導体、高PERのAI関連などにもう一段の調整が入る可能性があります。
ただし、これは必ずしも悪いことばかりではありません。
会社の成長は変わっていないのに、金利だけを理由に大きく売られる会社
が出てくれば、それこそ詳しく調べたい押し目になります。
⑧ ぱんだ塾長の今週の一言
今週、一番覚えておきたいのは、
「AI関連銘柄を探す」から一歩進んで、「AIで実際に誰の仕事が増えているのかを見る」
という考え方です。
今週だけでも、
高砂熱学 → AIサーバーを冷やす
高千穂交易 → AIを安全に使えるようにする
Ridge-i → 企業へAIを実際に導入する
という会社が見つかりました。
そして最後にRidge-iから、
「SBIから約9.8億円受注しました」
という具体的な数字まで出てきた。
こういう銘柄を見つけたいです。
一方、月曜日はかなり特殊です。
金曜夜の米国株だけ見ればプラス。
でも週末の中東ニュースはマイナス。
だから月曜朝に上がるか下がるかを当てにいくより、
市場が中東リスクを織り込んだ後に、何が不必要に売られているのかを見る。
これが来週のスタートとして一番面白そうです。
月曜日の最優先チェックは、Ridge-i、INPEX、川崎汽船。
情報源・参考URL
株価・指標は9月11日の表示値、ニュース・IRは各資料の公表日を確認しています。
- Ridge-i|9月11日・AI関連プロジェクト大型受注のお知らせ
- Ridge-i|9月11日・2026年7月期決算短信
- fantasista|9月11日・AIデータセンター開発事業の基本合意
- アストロスケール|9月11日・フランス子会社の軌道離脱実証契約
- アストロスケール|IRライブラリ・第1四半期決算
- 高砂熱学|IDC-SFLOWの公式製品説明
- 高千穂交易|9月10〜11日・AIセキュリティ展示会
- INPEX|2026年中間決算の要旨
- 米労働統計局|9月11日発表・8月CPI
- FRB|FOMC公式日程
- 日本銀行|会合・総裁会見日程
- JPX|上場会社情報サービス
- Yahoo!ファイナンス|日経平均の日次終値 / TOPIX
- Yahoo!ファイナンスの株価・指標:高砂熱学 / 高千穂交易 / Ridge-i / INPEX / 川崎汽船
- AP|9月11日の米国株終値
- Investing.com|Brent原油の日次価格
- AP|9月11日・サウジのパイプライン停止とペリム島
- Reuters/Investing.com|9月12日・パイプライン停止と紅海情勢
- Reuters/MarketScreener|9月11日・米CPIと利上げ観測
- FXStreet|9月11日・米長期金利の動き
- Reuters/Investing.com|日本時間9月9日・製造業の景況感調査
- Reuters/MarketScreener|日本時間9月10日・日銀利上げ予想調査
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