THE EVENING JOURNALニュースから、企業の仕事を読む。
株の夕刊

日本株 夕刊|2026年9月9日(水)

AIの光通信と原油・資源に注目が集まった一日。三菱ケミカルグループの光通信材料を、ニュースと企業の仕事から読み解きます。

三菱ケミカルグループ証券コード:4188
日本株AI光通信三菱ケミカルグループ原油
株の夕刊 2026年9月9日、夕暮れの街で新聞を読むぱんだ塾長
日本株 夕刊|2026年9月9日(水) / 株の夕刊

情報基準:2026年9月9日 17:30(日本時間)
日本株は9月9日の東証終値。為替・原油は引け後に確認できた直近値を使っています。

① 今日の結論|30秒で読める

今日の日経平均は 65,142.78円、-0.19%。TOPIXは 4,046.64、-0.09%、グロース250は 783.76、約-0.4%でした。数字だけ見れば小幅安ですが、場中は日経平均が一時 65,794円まで上昇したあと失速しており、値下がり銘柄は東証プライムの約6割。まだ「市場全体が立ち直った」とは言いにくい一日でした。

ただし、今日の中身はかなり面白いです。

強かったのは「AIの光通信」と「原油・資源」。古河電工は +12.63%、住友電工やフジクラも上昇しました。一方、アドバンテスト、東京エレクトロン、任天堂などは下落。AI株が全部上がったのではなく、AI投資の中でも“通信インフラ側”へ資金が動いた日でした。

さらに引け後、Brent原油が1バレル100ドルを突破。これは7月24日以来です。中東情勢は引き続き大きなリスクです。

そして今日、一番面白かった日本企業は――

🥇 今日一番の発見:三菱ケミカルグループ(4188)

AIサーバーを光でつなぐための「光通信そのもの」ではなく、その中で電気信号を使って光を高速に制御する“材料”を狙っている会社です。

今日9月9日、三菱ケミカルグループ傘下の三菱ケミカルが、CVC子会社Diamond Edge Venturesを通じた米NLM Photonicsへの出資を発表しました。NLMは、AIデータセンター向け光通信で使う次世代の有機材料を開発しています。従来材料より高速・低消費電力で光信号を制御する技術です。会社発表

今まで、

フジクラ・住友電工・古河電工 → 光でつなぐ側
アンリツ → その高速通信を測る側

まで見てきました。

今日はさらに、

三菱ケミカル → 光通信を高速化する「材料」を作る側

まで広がりました。

これは夕刊らしい企業発掘として、かなり好きな一社です。

② 今日の日本株で何が起きた?

note掲載の表画像画像を拡大する ↗(別タブ)

日経VIは前日の32.05から31.55へ少し低下しましたが、まだ30を超えています。「かなり値動きが荒くなりそう」と市場が警戒している状態は続いています。

今日の特徴は、指数より業種・銘柄ごとの差が大きかったことです。

非鉄金属、石油・石炭、鉱業が強く、証券、サービス、小売などは弱い展開。日経平均ではSBGが大幅な押し上げ役になった一方、アドバンテストなどが大きく押し下げました。

したがって、今日の相場を「日経平均-0.2%だった」で終わらせると、かなり大事なものを見落とします。

AI光通信・資源にはお金が入っている。市場全体にはまだ慎重。

この2つが同時に起きています。

③ 今日詳しく見たい銘柄

1位 三菱ケミカルグループ(4188)

今日一番の発見

一言でいうと

AIデータセンターの高速光通信を「材料から速くする側」。

どんな会社?

化学・素材の巨大企業です。

AI専業ではありませんが、半導体材料、電子材料、炭素繊維など、成長産業の川上にいる会社です。

なぜ今日注目する?

今日9月9日、傘下の三菱ケミカルがCVC子会社を通じ、次世代光通信用の有機電気光学材料を開発する米NLM Photonicsへの出資を発表しました。NLMの材料はシリコンフォトニクスに使われ、従来の無機材料より高速・低消費電力な光信号の制御を狙っています。

「シリコンフォトニクス」は難しく聞こえますが、要するに、

半導体の技術を使って、電気だけでなく光も高速に扱う仕組み

です。

AIサーバーが増えるほど、GPU同士で送るデータ量が増えます。その通信を速くしながら消費電力を抑えるため、こうした材料まで重要になります。

今日の株価

1,172.5円、+0.95%。

年初来高値1,305円から約10%下です。

  • 予想PER:約12.5倍
  • PBR:約0.87倍
  • 配当利回り:約2.7%

となっています。

今後の注目材料

一番重要なのは、今回の出資が「将来の勉強」で終わるのか、三菱ケミカル自身の材料事業につながるのかです。

NLMの技術が量産採用され、三菱ケミカルの素材技術と結びつけば面白い。

気をつけたい点

今回の会社発表に出資額の記載はなく、NLMはまだスタートアップです。

三菱ケミカル全体は非常に大きな会社なので、この事業が成功してもすぐ全社利益を大きく変える規模とは限りません。

またPBR1倍割れですが、ROEも低いため、「PBRが低い=安い」と単純には判断しません。

今の見方

今すぐ追うというより、新しいAI材料株として調査リスト入り。

かなり「知らなかった企業の一面」が見えた一社です。

2位 日立建機(6305)

一言でいうと

生成AIを油圧ショベルの「頭脳」にしようとしている側。

どんな会社?

油圧ショベルや鉱山機械を作る世界的な建設機械メーカーです。

なぜ今日注目する?

今日、かなり面白い公式発表がありました。

日立建機は10月から、人間の油圧ショベル操作をAIに学習させ、自律的に作業させる「フィジカルAI」の研究開発を開始します。経済産業省・NEDOのGENIACにも採択されています。

AIに、

カメラ映像を見る
周囲の状況を判断する
人間のレバー操作を学ぶ
自分でショベルを操作する

ところまでやらせます。

今日のニュースとどうつながる?

「フィジカルAI」というとヒューマノイドロボットを連想しがちですが、実際にはショベルカーそのものをロボット化する方法もあります。

建設・鉱山では人手不足が深刻です。

AIで無人化できれば、

人手不足 → 自動運転建機 → 建機そのものの価値が上がる

可能性があります。

今後の注目材料

研究で終わるのではなく、

災害現場・鉱山・建設現場で実際に商用化されるか

を見ます。

日立建機は2025年度の海外売上比率が84%と高く、成功すれば日本だけの話ではありません。会社発表

気をつけたい点

まだ研究開発開始の段階です。

「AIショベルが来年大量に売れる」という話ではありません。

9月9日の東証終値は5,811円、前日比+1.06%でした。当日の株価時系列

今の見方

かなり長期で面白い。継続監視。

「ヒューマノイドだけがフィジカルAIではない」という意味でも覚えておきたい会社です。

3位 三井ハイテック(6966)

一言でいうと

半導体の金属部品と、電動モーターの“鉄心”を作る側。

なぜ今日注目する?

これは引けと同時に発表された決算です。

9月9日15:30に第2四半期決算を発表。上期の経常利益は前年同期比約2.2倍の133億円となり、通期予想を145億円→200億円へ上方修正しました。

半導体向け「リードフレーム」やモーターコアなどが主力です。

今日、OpenAIがSamsungとの次世代チップの共同生産・研究を進めていることも報じられており、AI半導体投資の広がりを考える際の日本企業候補として面白くなりました。ただし、OpenAI/Samsung案件を三井ハイテックが受注したという話ではありません。

今日の株価

東証終値は 899円、-0.44%。

ただし決算は引けと同時の15:30発表です。この終値だけでは、発表後の市場評価は確認できません。

その後PTSでは16:11時点で1,030円(東証終値比約+14.6%)を付けています。ただしPTSは東証とは別市場で取引量も違うので、「明日も同じだけ上がる」とは考えません。株探の当日株価・PTS

9月9日終値899円と、同日発表の新しい通期予想・中間期実績を使うと、

  • 予想PER:約11.3倍
  • 実績PBR:約1.32倍
  • 予想配当利回り:約2.1%

です。PERは修正後の予想1株利益79.34円、配当利回りは予想年間配当19円が基準です。PTS価格で計算した指標ではありません。決算短信

今後の注目材料

明日の東京市場で、上方修正をどこまで評価するか。

そして次に、「何が利益を押し上げたのか」を決算資料で詳しく確認したいです。

気をつけたい点

上方修正は強いですが、明日株価が大きく跳ねれば、その後の値段では魅力が変わります。

今の見方

明日最優先で値動きを確認したい銘柄。飛びつかず、まず最初の評価を見る。

4位 古河電気工業(5801)

一言でいうと

AIデータセンターを大量の光ファイバーで「つなぐ側」。

なぜ今日注目する?

VerizonとCorningが9月8日、2032年までの複数年契約を発表。

8,000万マイル超の高密度光ファイバーを供給する数十億ドル規模の契約で、生成AI・大規模データセンターをつなぐ高速ネットワークの整備が明確に示されました。

このニュースを受け、日本では古河電工、フジクラ、住友電工など光通信関連が強く買われました。

今日の株価

古河電工は 4,129円、+12.63%。

これはかなり強いです。

一方で年初来高値6,241円からはまだ約34%下。

ただし現在はPER約28倍、PBR約6倍台で、単純に「高値から下だから安い」とは言えません。

今後の注目材料

海外のAIデータセンター向け光ファイバー投資が実際の受注や利益としてどれだけ入ってくるかです。

気をつけたい点

今日だけで12%以上上がっています。

こういう日はテーマを理解するには非常に重要ですが、株価を追いかける日とは考えません。

今の見方

テーマはかなり強い。ただし今日は追わず、押し目待ち。

④ 重要ニュースTOP5

1位 Brent原油が100ドル突破

何が起きた?

中東情勢悪化でBrent原油先物が9月9日16:21(日本時間)に100.07ドルへ上昇。7月24日以来の100ドル突破です。ホルムズ海峡の原油流量も大きく減っています。Reuters配信記事

なぜ重要?

原油高はガソリン代だけではなく、

企業コスト → 物価 → 金利

まで波及します。

日本株ではどこを見る?

資源・商社・石油関連には追い風になりやすい一方、航空、物流、化学などには負担です。

2位 Verizon、AI時代に向け8,000万マイル超の光ファイバー契約

何が起きた?

Corningと2032年までの大型契約。AI向け高速通信網を全国規模で整備します。

なぜ重要?

AI投資が「GPUを買う」から都市・データセンター間を大量の光ファイバーでつなぐ段階へ進んでいます。

日本株ではどこを見る?

古河電工、フジクラ、住友電工、そして計測のアンリツ。さらに今日見つけた三菱ケミカルのような光通信材料まで広げます。

3位 Google、フィンランドAIインフラへ少なくとも130億ユーロ

Googleは2027〜2028年の2年間で少なくとも130億ユーロをフィンランドのAIインフラへ投資する計画です。Fortumとの原子力発電の長期電力購入契約も結び、期間は22年です。Fortum公式発表・9月9日16:00日本時間

なぜ重要?

これはものすごく分かりやすいです。

AIデータセンターを建てる
↓
電気が足りない
↓
原発・再エネ・送電網・蓄電池までセットで投資する

AIはすでに「半導体テーマ」ではなく電力インフラテーマになっています。

日本株ではどこを見る?

SWCC、明電舎、富士電機、三菱電機、ダイキンなど。ただしGoogle案件の直接受注を確認したわけではありません。

4位 OpenAI、Samsungと次世代AI半導体の共同研究を深化

OpenAIはSamsungと次世代チップの共同生産・研究を進めており、メモリー半導体需要も今後さらに増えるとしています。具体的な製造分担までは明らかにされていません。Reuters報道を紹介したTrendForce記事

なぜ重要?

OpenAIはAIモデルを作るだけでなく、

半導体の開発・供給網にも深く関わる側

へ進んでいます。

日本株ではどこを見る?

半導体製造装置・材料・部品を引き続き広く見る。今日の三井ハイテックも「AI半導体投資が川下の部品まで広がるか」という視点で確認します。

5位 日立建機、油圧ショベルにフィジカルAI

何が起きた?

人間の操作を学習し、現場を見ながら自らショベルを操作するAI研究を10月から開始します。

なぜ重要?

フィジカルAIは「人型ロボット」だけではありません。

既存の巨大機械にAIを載せる方が、実用化が早い分野もあります。

日本株ではどこを見る?

日立建機。さらにコマツ、THK、モーター・センサー・油圧部品企業まで広げる余地があります。

⑤ 暴落・押し目レーダー

🟠 市場ストレスは高いまま。ただし全面的な大暴落ではない

日経平均は年初来高値72,831.73円から現在約10.6%下。

一方TOPIXは年初来高値4,220.31から約4.1%下です。

そして日経VIは31.55。

つまり、

日経平均の大型株にはかなり調整感がある
でも日本株全体が20〜30%売られたような暴落ではない

という状態です。

昨日ほど全面安ではありませんでしたが、今日もプライムでは値下がり銘柄が約6割。

しかも引け後に原油が100ドルを突破しています。

したがって押し目レーダーは🟠のまま維持します。

明日以降さらに市場全体が売られた場合は、

ダイキン、アンリツ、SWCC、住友電工、三菱電機

など、「AI・電力の長期テーマは生きているのに市場全体につられて落ちた企業」を優先して探します。

⑥ ぱんだ塾長の保有株ウォッチ

SBG(9984)|OpenAI再評価

700株保有。9月9日終値は6,810円で、OpenAIの次世代チップ開発・企業利用の広がりは、長期的には追い風になり得ます。短期の急騰は追いかけず、長期目線で次の事業進展を確認したいところです。

NTT・フジクラ|AI光通信

NTTは9日、IOWN AI FundによるAIデータセンター向け光スイッチ企業iPronicsへの出資を発表。フジクラも9日終値で前日比+8.07%と上昇しましたが、テーマの強さが今後どれだけ受注・売上につながるかを見ます。NTT発表

Alphabet・Verizon|米国企業のAIインフラ投資

Alphabet傘下のGoogleは、フィンランドでAIインフラ投資に加え電力も長期確保。VerizonはCorningと大型光ファイバー契約を結び、AI競争が「モデル」から「電力・通信インフラ」へ広がることが、保有株にも関係しています。

丸紅・三井物産・住友商事|原油100ドル

原油高は資源権益には追い風になり得ますが、世界景気や非資源事業には逆風にもなります。「原油高=商社全部にプラス」とは考えず、次の決算で利益への寄与を確認します。

ぱんだ塾長はどうする?

今日は短期の値動きを追うより、今持っている企業がAI・通信・電力・資源という大きなテーマのどこにいるのかを確認する日。長期目線を基本に、次の決算で実際に利益へつながっているかを見ます。

⑦ 引け後の決算・適時開示

三井ハイテック(6966)

通期経常利益予想を145億円→200億円へ上方修正。明日の第一監視銘柄です。

ANYCOLOR(5032)

第1四半期は売上高166億円、営業利益63.9億円。コマースとイベントの売上高が会社想定を上回った一方、前年同期比では営業減益。また最大70億円・280万株の自己株取得も発表しています。こちらも明日の値動きを確認したい決算です。決算短信・決算報道・自己株取得の報道

⑧ 明日以降に見るポイント

最優先は原油です。 Brentが100ドルを超えたまま定着するのか。105ドル、110ドルへ進むなら、日本株の話はAIより「インフレ・金利・コスト高」が主役になる可能性があります。

次に、三井ハイテックの明日の初動。上方修正を受けてPTSは大きく上がっていますが、東証でどこまで評価されるかを確認します。大きく上がった場合は追わず、決算内容を先に読みたいです。

そして光通信株が2日目も続くのか。古河電工が今日+12.6%だったため、明日は利益確定売りも出やすい。住友電工、フジクラ、アンリツなど周辺へ資金が広がるのかを見る方が面白そうです。

為替では9月9日17時時点のドル円が153.11〜13円。一時152円台後半まで円高が進んでいます。日銀利上げ観測が続く中、152円を明確に割るようなら輸出株にはもう一段注意が必要です。日本銀行・当日の外国為替市況

今週後半は米国の物価統計もあります。原油高と米金利上昇が重なるかどうかが、AI成長株にもかなり重要です。

⑨ 明日の3シナリオ

強いケース

原油が100ドル前後で止まり、円も153円付近で落ち着く。

この場合はAIインフラへの物色継続。

三菱ケミカル → 光通信材料という新テーマ
アンリツ → 高速通信を測る需要
SWCC → データセンター電力
住友電工 → 光+電力

へ資金が広がる可能性を見ます。

基本ケース

これが今の本線。

原油は高い、円も強い、日米金利も高い。しかしAI設備投資そのものは強い。

指数は方向感が出ず、

三菱ケミカル・三井ハイテック・日立建機

のような「個別の新材料がある会社」を一社ずつ見る相場です。

弱いケース

Brentが105ドル方向へ上昇、ドル円が152円割れ、日本金利も上がる。

この場合、

古河電工・フジクラなど高く評価されているAIインフラ株はテーマが正しくても利益確定売りが出やすい。

輸出機械株にも円高が逆風。

一方、石油・資源・商社などは相対的に強くなる可能性があります。

⑩ 今日覚えておきたい3つ

  1. AI光通信は「光ファイバー」だけではない。
    光を運ぶケーブル、接続を切り替える光スイッチ、電気信号で光を変調する材料、通信を測る計測器まであります。今日の三菱ケミカルを見つけられたのは、この一段奥まで見たからです。
  2. AIデータセンターは、ついに原発までセットになり始めた。
    Googleのフィンランド投資では22年間の原子力電力購入契約まで結ばれました。AI関連株を探すなら、今後「半導体会社」だけでなく発電・送電・変圧・蓄電・冷却を見る必要があります。
  3. PTSの株価と東証終値は別物。
    三井ハイテックは899円で東証を終えた後、決算発表後のPTSで1,000円を超えています。でもPTSは参加者も取引量も違います。「PTSで約14.6%高=明日の終値も約14.6%高」ではありません。明日の東証で市場全体がどう評価するかを見る必要があります。

⑪ 情報源・参考URL一覧

企業・一次情報

ニュース・市場情報

今日の最後の一言

今日一社だけ覚えておくなら、三菱ケミカルグループ(4188)です。

#日本株 #株式投資 #株の夕刊 #AI #光通信 #データセンター #三菱ケミカルグループ #原油

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